2007年5月 4日 (金)

男の美学と村上春樹

今日は休みです!
懸念していた決算発表もとりあえずは乗り越え、カレンダー通りの休日を取ることが出来ました。といってもGWの予定はテニスだけなんですが・・・

村上春樹・・・それ程好き、ということではないのですが、新刊が出るととりあえず古本屋で買って読むという程度には好きです。「ノルウェイの森」が私の高校時代に大ヒットしましたが、個人的には「羊をめぐる冒険」が一番だと思っています。

一方で、私がこよなく愛する本としてF・スコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」とレイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」があります。両者ともに男の美学というものを感じさせてくれると、個人的には感じております。当然のことながら、ハッピーエンドではありませんので、安心して読むことが出来る点も見逃せません(笑)

以前から村上春樹の文章はフィッツジェラルドとチャンドラーを足して2で割った様に感じていたのですが、ご本人もこの両者からは大きな影響を受けたらしく、最近自身の訳でこの2冊を刊行しました。

「グレート・ギャツビー」の方は野崎孝という方が、「長いお別れ」の方は清水俊二という方が訳したものがあります。同じ本を訳しているので、当然のことながら両者と村上氏訳を比較したがるのは人情というものでしょう。

「グレート・ギャツビー」
この本は、以前から村上氏が絶賛しておりまして・・・期待して呼んだのですが、うーん、正直オリジナル訳の方が自分は好きです。解説には「オリジナル訳の当時とは如何せん時代が変わっているので、現代風にアレンジしてみた」的なことが書いてあったのですが・・・その古めかしさが良い味を出していたんですけどね~。
致命的なのは、主人公が頻繁に使う「old sport」という言葉の訳し方。オリジナル訳だと「親友」なんですが、村上氏訳では「オールド・スポート」となっておりました。どうも「この言葉の持ついかがわしさまで考えると「親友」というより「オールド・スポート」の方が良い」ということらしいのですが・・・英文学に造詣が深い村上氏ならそうなのかもしれませんが、こちらは生粋の日本人。「オールド・スポート」とか言われても、何のイメージも湧かないんですよね。いかがわしい響き、という点も含めて「親友」の方が全然宜しいかと感じましたな。

「長いお別れ」
以前こちらで簡単に紹介しましたが・・・ハードボイルドの象徴的な作品と崇められております。私がこの本を初めて読んだときには衝撃を受けました、特に最終章の格好良さと言ったら・・・筆舌に尽くしがたいものがあります。学生時代には原書を入手し、読めもしないのに、格好つけて読む振りをしていたことを良く覚えています(笑)
どうやら衝撃を受けたのは村上氏も同様らしく、解説にはそんなことが書いてありました。一方、訳の方ですが、オリジナルでは割愛されていた部分も訳してあり、その意味ではより原書に忠実なのかもしれません。その点「グレート・ギャツビー」よりも良いと感じました。ただ、一番のヤマである最終章だけは頂けません。オリジナルの言葉の選び方の方が百倍格好良いですな。
それと、大いに不満なのが表紙。

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こんなデザインになっちゃっております。
何か軽いです。

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こちらが、オリジナル訳バージョン。
こっちの方が1億倍格好良いです。

なんだね、新しい方のカバーは。センスのかけらも感じやしない。
何か、作品の持つ品位を下げられた様で、下僕的は大いに不満ですな(笑)

ただ、村上氏自身の解説には、チャンドラーの文章の魅力・雰囲気についての分析や、実はチャンドラーがフィッツジェラルドが好きだった、とか色々興味深いことが書いてありました。それだけが救いでしょうか。

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2007年2月 4日 (日)

絶望からの帰還とエドバーグと日米比較論

久しぶりに本ネタです。

「アポロ13号 奇跡の生還」 ヘンリー・クーパーJr.著

不吉な数字として避けられる13をあえて採用した、いわくつきの月ロケットが、月に行く途中に事故に合い、一時は生還が絶望視される状況に陥りながらも、地上の管制官・乗組員が死力を尽くし、無事帰還するまでのノン・フィクションです。
このエピソードは、10年くらい前に「アポロ13号」というタイトルで映画化されてます。確か主演はトム・ハンクスで、フット・ルース(古い!)のケビン・ベーコンも出ていた様に思います。
このケビン・ベーコン、フットルースのときはステファンエドバークに似てると思ったのですが・・・  この映画のときは、普通のサラリーマンっぽくなっておりました(笑)

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このネタ、分るのは過去のイケメンにも造詣が深いYプロくらいでしょうか?

回り道をしましたが、本の感想を述べると・・・

「やっぱり、アメリカってすげぇや!」

何がすごいって、色々な危機的状況を想定して、様々なバックアップをあらかじめ持っておくという、プロジェクトの成功に突っ込む資源の量と質に感銘を受けました。(もっとも、本当に起きた事故は全くの想定外だったらしいですが)
何せ、地上の管制官が使っているシステムがもう1セット予備にとってあるってくらいですから。こんな国と戦争をやって勝てるわけがありません(^_^;)

一方、事故の原因は何かというと、宇宙船製造時に液体酸素タンク内に設置されていたヒーターの部品(コイル)の規格を間違えため、起動時のショートによって火災が発生したという、かなりお寒いもの。

このあたりに、日米の違いがある様に思います。恐らく、宇宙船を製造したのがトヨタだったらこんなことは起きなかったでしょう。

極論してしまうと、現場を重視し、個々の従業員の技術水準を芸術的な域にまで高めることで、高品質と低コストを実現する日本。それに対し、「ミスは必ず起きるもの」という観点から「どこまでのミスなら耐えうるか」「ミスが起きたらどう対応するか」というシステムつくりで、目的達成を合理的に追求するアメリカ。これは安易な結論づけは出来ないのですが、歴史的な背景から来る文化の違いなんでしょうか。

どっちが優れているんでしょうか?個人的にはモノ作りであれば日本型。戦争とか宇宙旅行とかいう国家的プロジェクトになるとアメリカという気がします。アメリカ型は良くも悪くも「個人」を信用してないが故に、頭の良い人たちが寄ってたかってすごいシステムを作りだす。この様なやり方でないと、巨大プロジェクトは成り立たないのでしょう。一方、ことモノ作りということに限っては、どんなにシステムがすごくても、どこかしらに人の手はかかるもの。その人間がボンクラだとしたら、失敗はどうしても起こるわけでして・・・

ちなみに、この時の管制官の責任者の年齢はなんと36歳。今年自分36歳になるんですが・・・この人の100分の1の力も発揮できそうもありません。やはり人間にも格の違いというのはありますんですな。「人間は平等」という言葉があります・・・大ウソだと思います(笑)

ちなみに、この本を訳したのは立花隆ですが、この人は東大の仏文を卒業後、「知的好奇心から」もう一回受験し直して東大の哲学科に入り直したそうです。
自分、100年かかっても、いや、生まれ変わっても、東大になんか入れそうも無いんですが(自嘲)

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2006年12月21日 (木)

読書の冬!

世は年末モードですが・・・連日の終電帰りはつらいですな。
ただこの季節、何となくぬるく仕事しても許される様な感覚があり、個人的にはとても好きです(^_^;)

昨日は、うにコーチのチャットにお邪魔しました。
実はチャットというのは初体験でございまして・・・かなり緊張しました。
参加している方も、高名なブロガーの皆様ばかりで、そこで交わされるトークも一際格調高く、そう、例えるなら神々の対話というところでしょうか(笑)。疲れていたこともありましたが、そのハイブローな内容にも圧倒され、早々に退散してしまうヘタレでした・・・。今度参加する時は、ビールではなく、バーボンを片手に挑むことにします。それも水割りじゃなくて、トリプルくらいのロックで・・・でないと場の雰囲気に負けてしまいます(笑)

そうそう、今トンが旅行中なのですが・・・帰国が25日なので、今年のクリスマスはまったくの独り身で過ごすことに。もっとも前年は仕事かテニスかどちらかで、何もイベント的な要素なしに過ごしたので、実は大差ないのですが(^_^;)

ということで、今週末から来週末にかけて読む本を、先週末に買い込みました!

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色々買いましたが、メジャーなのは「さよなら絶望先生」の第6巻と、「ローマ人の物語」第15巻でしょうか。

絶望先生は・・・5巻より少しばかりブラック度が落ちた様な気がして少し残念。「ローマ人・・・」の方はクリスマスの夜用に取っておきたいと思います!それにしてもこの本、1冊3千円とは・・・少しばかり高すぎないだろうか。

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2006年12月14日 (木)

青が散る

今日も疲れました(^_^;)
こんな日にはPCと向かい合いながらも、ふと昔の記憶がよみがえるから不思議です。

そんなわけで、今日は宮本輝の「青が散る」をご紹介したいと・・・
テニスバカたるもの一度は読むべき名著でございます。

作中に、幾度か主人公のテニスの試合を描写する場面がありますが、これを読む限り、宮本氏も学生時代は相当なテニスバカだったんだろうな、と親近感を持ちます。
ちなみに、この主人公は最後の年にインカレに行きますが、宮本氏はどうだったんだろう、あとがきには「ずっと無名な選手でした」とありましたが・・・

ちなみにこの小説はテレビ化されまして、確か主人公を石黒賢、ヒロインをリーこと二谷友里恵が演じたと思います。私は見てませんが・・・見なかったほうが良かったと思います。多分(笑)

この本も他の私が好む本同様、ハッピーエンドではありません。
それどころか喪失感がすごく大きい本です。自分はこの本を高校生のころに読みまして「自分もこんな風に何もかも中途半端なまま、大学卒業して就職しちゃうんだろうな~」と虚無感に襲われましたのをよく覚えております。

事実そうなりました(笑)
おそるべしは、宮本輝の文章力ですな。

そうそう、我が相方のジミーもこの小説の大ファンでした。
「(好きな女性を射止めるには)大きな心で押しの一手や」という主人公の友人言葉にやたらと感じいっていたものです・・・

これだけは、ちょっと違うと思います。

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2006年12月 9日 (土)

人は信じるなかれ

そろそろボーナスのシーズンでしょうか。一応下僕の会社もボーナス出ました。一応、ですが・・・

本日は法事ということで、テニスはお休みです(^_^;)
代わりと言っては何ですが、不夜城シリーズの完結編「長恨歌」を読んでました。

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不夜城シリーズ、素直に面白かったですね~。私はひねくれ者なので、話題になったときには読んでおらず、今年に入ってから全て読みましたが、何がいいって、ハッピーエンドが一つもないのが良いです!下僕の本を選ぶときの選択基準は、ずばり読後感の重苦しさです。今更若い男女の「美しくも切ない」恋愛物語を読んでも、自分の現実とのギャップで嫌になるだけですから(笑)

やはり、出来としては最初の「不夜城」が1番でしょうか。2番手の「鎮魂歌」と最後の「長恨歌」は、少しばかりストーリー展開に強引さがある様に感じます。何もそこまでして意表をつくことに拘らなくても、という感じでしょうか。

これを読んで、やっぱり中国人って怖い!と思い、触発されて呼んだのが「毛沢東秘録」。

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これはバリバリのノンフィクションで、大躍進政策から文化大革命、そして4人組逮捕までの中国政治の裏を描いております。読後感の暗さからいったら、こちらの方が「不夜城」より上かもしれません。何たってノンフィクションですから・・・

それにしても、毛沢東は怖いですね。下僕的には上司にしたくない人の断然№1です。あえて例えるなら外資系でよく見かけるという「ナンバー2キラー」でしょうか。ある人間に目をつけてナンバー2の地位にまで引き上げ、そいつに自分の施策をやらせておいて、失敗したらそいつを切る。上手くいったらいったで自分の手柄。そして、そいつの権勢が自分を脅かすまでに成長すると、違う人間を引き上げて今のナンバー2を蹴落とさせる・・・

ひょっとすると、中国人そのものが怖いのかも知れません。
「不夜城」には「中国人にとって、相手を恨むとはただ殺すことではない。相手の持っているものを全て奪い取って、そのことを見せ付けてから殺すことだ。」なんて言葉が出てきますし、毛沢東はフルシチョフに「わが国には10億の人間がいる。核戦争で9億人死んでも1億人は生き残る。それでアメリカに勝てるんなら全然いいじゃないか。」と言ったみたいです。(この言葉、落合信彦の本で知りました)

一方、「ナンバー2キラー」が何でこんなに上手くいくかというと、・・・、そうです共産主義だからです。何てったって一党独裁。専制政治です。全ての権力を持つのが王様なのか共産党のトップなのか、という点しか違いはありません。
資本家を倒すための革命を進める使命を持った共産党のみが正しいという建前ですから、そのトップにいる人間に「○○は反革命的だ」と言われたら最後、無実だろうが何だろうが、あっという間に失脚します・・・。

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そんな共産主義のあり方をものの見事に描いたのが、このオーウェルの「動物農園」。この本を読むと、共産主義が恐ろしいというよりも、その実態を知りながらも何ということはなく従ってしまう、国民の方が恐ろしいと思ってしまいます。もっとも、自分の実生活を考えるとものの見事に「会社の犬」になりきっていますので、「とりあえず長いものには巻かれとけ」というのは人間の本性なのかもしれません。
ちなみにこの著者オーウェル氏。貧乏な環境にありながらイギリスの名門校に進学するような優秀な人だったらしいのですが、常に悲観的で、周囲に対して被害妄想・劣等感を感じていたそうです。この点、私はすごい親近感を覚えます(笑)

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2006年9月28日 (木)

ノーベル賞候補!

こんなニュースを発見しました。

 世界最大規模のブックメーカー(賭け屋)、英ラドブロークスが26日、10月発表のノーベル文学賞受賞者の予想オッズを公表。作家・村上春樹氏(57)を34倍とし、18番目に名前を挙げた。村上氏は今年3月、2004、05年と2年連続で受賞者がその年のノーベル賞に輝いている「フランツ・カフカ賞」(チェコ)を受賞したことから、ノーベル賞も有力視されている。(中略)
村上氏はさらに今月25日、短編小説「ブラインド・ウィロー・アンド・スリーピング・ウーマン」で第2回フランク・オコナー国際短編小説賞を受賞。日本で02年に刊行された長編小説「海辺のカフカ」は、英紙フィナンシャル・タイムズの「2005年のベスト本」、米紙ニューヨーク・タイムズの「2005年のベストブック10冊」にも選ばれるなど、国際的評価も高い。

村上春樹、ノーベル賞候補ですか・・・凄いですねぇ~。
私が高校生の頃に「ノルウェイの森」が大ヒットしたのをよく覚えています。ただ、自分としては「羊をめぐる冒険」の方がよっぽど面白く、何であんなに売れるのか良く分らないのが実感でした。一通りこの人の本は読んでおりますが、最近は複数の異なるストーリーを同時並行させる手法がなぜか多いですね。あと、必ず○ッ○なシーンが出てきますな。自分、文学的なセンスもないので、この手のシーンがどんな効果をもたらすか、全然分りませんが(^_^;)
あっ、この人は海外の訳書で凄くいい仕事してるって思います。私の大好きな「没落の作家」フィッツジェラルドに激しく入れ込んでいるようですし、レイモンド・カーヴァーの本もこの人の訳で初めて知りました。

もっとも、会社でとなりに座っているN女史は「ノーベル賞?それって村上春樹の本を英語に訳した人がえらいんじゃないの~」とのたまっておりましたが・・・結構そんなものかもしれませんね(^_^;)

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2006年9月 7日 (木)

糸色望

と書いて絶望と読むのが、私がこよなく愛する「さよなら絶望先生」の出だしでございまして・・・

最近は・・・鬱です。
仕事・人間関係で凹むこと多しでして・・・ネガティブシンキングの王様を自任している下僕です、こんな時は「僕は世界中の人に嫌われている・・・生まれてきて済みません」的な思索が広がり、ベン・ジョンソン(古!)並みのロケットスタートで堕ちていきます。

そんな中、手に取った本がこれ。
「ビジネスマンのためのメンタルタフネス」でございます。
著者は、あのメンタルトレーニングの草分けジム・レーアー博士です。

簡単に要旨をまとめると
・人の心理状態は①ハイ・ポジティブ②ハイ・ネガティブ③ロー・ポジティブ④ロー・ネガティブの4つに分けられる。
・ビジネスマンにも、スポーツ選手同様に「絶好調」のときがある。
・ハイ・ポジティブ=「絶好調」ではないが、「絶好調」になるときの心理状態はかならず、ハイ・ポジティブの状態にある。
・ゆえに、自分の心理状態をハイ・ポジティブにキープしておくことが、成功するのに不可欠。
・そして、自分の心理状態は自分でコントロールすることができる。
というものです。

博士によると、自分の心理状態をコントロールするには、食生活や態度、モチベーション等の要素で可能になるらしく、各要素でどうしたらいい状態に持っていけるかの解説もついております。これが、果てしなく面倒くさそうですので、とても下僕はやる気にはなりませんが、その要素の中に「ユーモア」が含まれていることには、意外感がありました。

もっとも、ユーモアにもいいものと悪いものがあり、「俺の残業代、マックの時給以下だよ」的なブラック・ユーモアはロー・ネガティブの典型的な例だと・・・道理で自分はブラック・ユーモアを好むわけです。

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2006年7月12日 (水)

歴史の話

今日は本の話です。また、マンガネタをやってしまったので、今日はサラリーマンらしく歴史物の話をさせて頂きたく。

下僕、実はジャンルの本が一番好きですので、時として会話が懐古趣味となり、会社でとなりに座っているN女史からは「あんたタイムスリップしてきたんじゃないの」などと嫌味を言われておりますが、もちろん現代人でございます(^_^;)

Photo_11 まずは宮城谷 昌光の「あん子」です。変換が上手くいきませぬぅぅ!!
中国の春秋時代のお話ですが、他の中国物と同様、人物に焦点が当たっていて、政治的な陰謀なんかが多く描かれている分、結構フィクションも混じっている様には感じます。大体世の中国物は史記が紀伝体で書かれているからか、個々の人間の行動や心理的な側面が前面に取り上げられており、その点「ローマ人の物語」の様な語り口になれた方にはちょっと違和感があるかもしれません。でも私は結構好きです。なんてったって、人を信じることがどんなに愚かなことか、よ~く教えてくれますから。

Photo_12 続いて歴史物といえばこの人、司馬遼太郎氏の「最後の将軍」です。
これは徳川幕府最後の将軍、徳川慶喜の話ですが、この人はメチャクチャ頭が良く、しかも何事も器用にこなす人だったようです。何でも大工並みに鉋をかけたり、漁師の様に網を打ったり出来たらしいですが、実際にこの手の人はたまに見かけますね。いわば「天才」というべき人だったらしいのですが、そんな人間がトップにいて何故徳川幕府は滅びざるを得なかったか、このあたりはこの本に加えて、司馬氏の一連の著作を読んで頂ければよく分るかと思います。

下僕的には、こんな人がトップにいる会社は大変だろうな、なんて野暮なことを思ってしまいます。メチャクチャ頭が良くて、先が読めて、そのくせ自分が何を考えているかを説明したがらない。ホンマ、上司なんかになられたら厄介な人です。スティーブ・ジョブスなんかもこのタイプの人なんだろうな・・・ちなみに、下僕的にはアップルとマイクロソフトで、あそこまで差が開いたのは、トップの性格の差が大きいんだろうな、と感じております。

念の為に申し上げますと、別にジョブス氏が嫌いなわけではありません。氏の高名なスタンフォード大学の卒業祝賀スピーチなんて、ここ20年で最高のスピーチなんじゃないでしょうか。当社の社長が10年考えてもこんな話は出てこないでしょう。
もっとも、似たようなことは夏目漱石も言ってますので、この手のテーマからは名スピーチが生まれやすいのかもしれません。

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2006年7月 6日 (木)

寒い時代だと思わんか?

今週は平日にも関わらず、更新が多いですが、何を隠そう激ヒマです。現在課長が新婚旅行でイタリアに、同僚のY君は研修に、ということで、課では私一人しかいない状態です。サラリーマンの原則として、かかる状況のときは早帰りするに限る遅くまで残っていると必ずトラブルに巻き込まれますから(^_^;)、ということで、今週はずっと19時上がりなのです。

現在研修中のY君に、愛読書「さよなら絶望先生」を貸してあげたところ、そのお返しという事でマンガ版1stガンダムを貸してくれました。大の大人がマンガを貸し合っているなんて知能指数が低そうな会社っすね・・・

404713503809lzzzzzzz うーん、意外に面白いっすね。作者はキャラクターデザインを担当した安彦良和氏ですが、アニメ版には無かったサイドストーリーなんかがあって、ガンダムの奥深さを改めて認識しました。

しかし、改めて見てみるとガンダムには子供向けアニメとは思えない、渋いセリフが多いですね。今回借りた1-3巻にも名セリフが並んでます。

曰く「殴ったな!親にも殴られたこと無いのにぃ!」

曰く「 認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちと言うのは・・・」

極めつけは、明らかにナチス将校のイメージを前面に出しているワッケイン司令のこの言葉でしょう。

曰く「我々に出来るのはサラミス1隻付けてやるだけ、寒い時代だと思わんか?」

ちなみに、ガンダムのキャラで一番好きなのは、「戦いの中で戦いを忘れた」男、ランバ・ラル大尉であります。戦いに敗れるというのは、こういう事だぁ~

 

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2006年5月28日 (日)

ゲバラ!

今日は「ゲバラ日記」を紹介です。

ゲバラとは、ご存知のとおりキューバ革命の英雄にして男の中の男、チェ・ゲバラですが、

404317001709_scthumbzzz__3日記には、彼がゲリラ部隊を率いて転戦するところが描かれているのですが、編集がないだけあって生々しいです。キューバ革命以来の同志がすぐ怠けるいっては嘆き、ゲリラ部隊の誰かが食料を盗み食いしたといっては怒り、予定通り物事が進まないことに焦り、仲間同士で喧嘩があったことに悩み・・・彼の様な英雄も苦労するんだなぁ、それも会社の中間管理職みたいなことで、なんてことが実感されました。感銘を受けたのは、苦境かつ多忙にあっても必ず月に一回は「月次レポート」みたいな総括があり、そこではかなりポジティブに物事を捉えていることです。やはり、リーダーたるもの希望を失ってはいけないのですな(^_^;)

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