さて、本日は実業団リーグ戦の最終戦です。
今まで2勝1敗。本日勝てば昇格決定戦に進出できるだろうし、負ければそれが絶望的に・・・いわゆる後がない、って奴です。
しかし、こんな時にこそ敢然と敵に立ち向かうのが、真の漢というもの。
下僕、U市市民大会をDEFった腹いせもあり、雄雄しく単複出場を自ら申し出ます。しかしながら、自ら名乗り出たならその分だけ勝つ責任を負うのが団体戦というもの。今週は酒は飲まず除く土曜の夜、コンディショニングにも神経を使います!
相手は今まで負けなしでき来ているかなりの強豪。こちらはメンバーが体調不良だったり、練習不足だったりで、実質的にはH君とT君、そして下僕の3人が戦力となっております。
議論の末、私とT君がダブルスの1で出場。ダブルスは最悪1勝1敗を狙う。シングルは3番手にH君を、2番手にT君を起用、下僕は・・・栄光のシングル1!
えぇ、捨てワンという奴です。
まぁ、T君とH君はとってくれるでしょうから、このオーダーならシングルで2勝は固い。しかして合計3勝2敗で逃げ切る・・・そんな計画を立てます。
最初にダブルス2試合を2面進行で行いますが、相手のダブルス2が・・・激弱!これはさすがに勝てるでしょう。一方、我々の相手は・・・つおいです・・・ものすごく。
フォアサイドにはフォアの激打君・・・リターンミスがほとんどありません。バックサイドが華麗なテニスをするサウスポー・・・サーブ返せませんし、リターンも早いぃぃ!
出だしで相手のサービスブレイクに成功するも、続く下僕サーブもあっさりブレークされ、のっけからブレーク合戦です。一旦は1-4と突き放されるも、漢フォアリターンが奇跡的に火を噴き、3-4まで挽回。そこから3-5とされるも、こちらも食い付き5-5まで追いつきますが、そこから相手のリターンが炸裂!5-7で第一セットを失います。
セカンドセット・・・もう落とせません。そんな危機感が幸いしてか、ファーストセットは3ブレークダウンと相手のカモにされていた出だしの下僕サービスをキープに成功。続く相手サービスもブレークして2-0アップ。その後取って取られてを繰り返すも、7-5で奪い返します!
これで、ダブルスで2勝が見えた!相手は強かったけど、とにかく食らい付き、自分が出来ることに集中したのが勝因でした・・・
あぁ、やってはイケないことをやってしまいました・・・
「試合中に試合後の談話を考える」そう、これをやった試合は必ず負ける・・・著者自身忘れかけている下僕の法則その7の通りです。
ファイナルセットは、相手のリターンが爆発・・・足元をえぐられました・・・ファーストボレーで空振りさせられました・・・前衛でストレートアタックされて、よけちゃいました・・・。ほとんどのゲームでデュースまで行くものの、ゲームは取らせてもらえず1-6で果てましてございます。
うーん、今まで実業団で対戦した中で、一番強い相手でした。節制の成果か、下僕の調子はかなり良かった!でも負けました・・・リターンはすごいし、驚いたのは球際の強さ。ポーチに出たりボレーボレーで相手の前衛にアタックするも、ほとんど弾き返されました。相手のサーブはかなりブレークできましたが、こちらのサーブもかなりブレークされ・・・ファーストサーブとファーストボレーを、ある程度以上のリターンを相手に、なおかつプレッシャーのかかる局面で、いかに安定して入れることが出来るか、ダブルスの要点はこれに尽きますな。
言うだけなら簡単だな、ホント。
自分の試合は負けたものの、ダブルスは当初の目論見どおり1勝1敗。結局3時間弱ダブルスをやっていたので、かなり疲れました。後は計算どおり、シングルの2と3を取ってもらって、楽になりたいです。
そんな安直な発想をあざ笑うかのごとく、下僕の足元にラケットが飛んできます。
「!?」
と視線を上げると、絶対の取りポンであるはずのH君が何やら絶叫してます。ターザンか、お前は・・・
相手はフラット系のフォアハンドが強烈な、だけどそれしか打てないプレーヤー。H君なら楽勝と踏んでいたのですが、どうやら調子が悪いらしく、ファーストを落とした様です。
まぁ、3セットですから、何とかなるだろ。とタカをくくっていたら、彼の叫びはますますヒートアップ・・・あたかもエンパイアステートビルのてっぺんで、飛行機を叩き落さんと奮闘しているキングコングの様です。違うのはキングコングは美女を手にしているのですが、H君の手にしているのは「我がチームの勝利」だということ。
結局、彼は壊れたまま元に戻らず・・・まさかの2-6、2-6の敗退です。
ただ、下僕、彼のことを責める気にはなりません。人によっては「勝ちたい気持ち」がある種の行動を取らせてしまうのです。特に、相手に対して技術的な優位性を持っている場合は・・・
「何でこんな奴に勝てない?」
「今日は調子が悪いに違いない」
「これだけ調子が悪いのだから、こんな奴に負けるのも仕方ない」
という意識が出てきてしまいます。
所謂現実逃避的な発想ですが、人間ですからね・・・そういう時もあるんです。そして、それを誰よりも自分自身が認識しているだけに、こんな発想をしている自分に怒りが向かうのです・・・かくのごとく怒りは循環し始め、制御不能の核分裂を引き起こす。
あぁ、自分。何回これをやったことか(笑)
こういった心情の動きが、満月がある種の人を狂気の領域に向かわしめる様に、H君をしてラケットを投げさせるのでしょう(^_^;)
人に理解を示している場合ではありません。
H君が負けたお陰で、残るシングルの1と2で2勝しないと負けることになります。シングルの2はダブルスでペアを組んだT君が頑張っており、熱戦を繰り広げております。
で、栄光のシングル捨てワンこと下僕、ダブルスでも当たったサウスポーとコートに向かいますが・・・既に足が攣りそうです。
ダブルス、どうせ負けるんなら3時間もやるんじゃなかった・・・
そんな、ヘタレな気持ちが出てくるくらい疲れてます。年は取りたくないもんですね(^_^;)
試合開始です・・・。相手のサウスポーのフォアハンド、下僕のサービスより速いです(笑)
うーん、ベースライン後方からストロークエースを量産されております。同じフォームから順クロスと逆クロスを打てるため、いかんともしがたいです(泣)
で、スコアはあっと言う間に1-4ダウン。
ただ、ここに至って下僕の闘争心がふつふつと沸きあがってきます!
そもそも、単複出場を志願したのは、自分ではないか!自分が出たために、出れないメンバーもいる・・・このまま負けたら彼に対してどう顔向けしたら良いのだ!?
5ゲームやると、それなりに相手が見えてきます。
・バックも上手いが、スライスが多く。フォアほどのスピードはない。
・フォアハンドは、低い打点で取らせたボールはクロスが多い。
・ストローク&ネットは少ない。故に「スライスでも返せば何とかなる!」
とにかく、ボールを拾うことに専念。ひたすらナダルのようにコートを駆け巡ります。その甲斐あってか、3-4まで追いつき、一旦3-5とされるも、「気合」のキャッチで相手のミスを誘い、5-5とします!
ふっふっふ。盛り上がってきたじゃねぇかぁぁ!上等だよ。地獄の底まで付き合ってもらおうじゃねぇか!
と1人悦に入ったのもつかの間、なんとここで足に痙攣の気配が・・・
うーん、ダブルス3時間に加え、シングルもこの時点で1時間を超えている・・・確かに痙攣してもおかしくない状況ではありますが・・・神よ!貴方は我を見捨て給うたか?と叫びたくなるタイミングです。
結局、ファーストは5-7で落とします・・・。
古人曰く「愚者は経験に学ぶ、賢者は歴史に学ぶ」
下僕といえども、愚者のはしくれ。セカンドセットに入る前に、先日の教訓で学んだ「痙攣予防グッズ」を広げます(笑)
えーと、ヘリウムガス・・・じゃなくて携帯酸素でしょ。それから、芍薬甘草湯に、アミノバイタルに・・・
極めつけは、そう、ネオパスタノーゲン!
このオレンジ色のジェルを、両足太ももからふくらはぎに至るまで、塗りたくります。そして、長パンを着用して一丁上がり!
待ってろよサウスポーの兄ちゃん。セカンドセットは地獄を見せてやるからな。
ここに至って、大体相手のプレーも見えてきましたし、何よりも相手に疲れが見えてきました。考えてみれば、ダブルスもシングルスも対戦しているので、自分と同じ時間テニスをやっているから当たり前ですね。
結果、相手が自分のフォアサイドを空け始めたのです。
そう、下僕が相手のバックにボールを集めているので、回りこみを多用するにしても、いちいちコートのセンターまで戻りきれなくなってきたんですね♪
こうなるのをお待ちしておりました!
バックのクロススライスを相手のフォアに送り、相手が長い距離を走って拾ったボールを、今度は相手のバックに運ぶ。そしてネットに突進・・・
ファーストセットに出来なかったこの展開がついに出来るようになります!
相手もバックは下手ではない、というか、かなり綺麗で、教科書に出てくるような片手バックハンドです。ただ、所詮は片手バックハンド。当方のフォアの順クロスの強打にはパスは打てず、防御的なスライスになります。
この作戦が見事に的中し、セカンドは3-1アップまで行きます。パスタノーゲンのお陰で、下半身は燃える様。これで私の心も燃えるってモンです!
ところが、華麗なサーブ&ボレーを決めて4-1としたところで・・・何と太ももに痙攣が・・・
抜かりました・・・
太ももと言ってもかなり上の部分で、誤解を恐れずに言うと「刺激に弱い部分」(笑)
ここには、パスタノーゲンを塗っていなかった!
というか塗れなかった・・・
不覚です・・・耳にだけ般若心経を書かなかったばっかりに、芳一の耳を失ってしまった住職の様な心境です。
ただ、いくら嘆いても痙攣は収まらず。内ももに加え、臀部のすぐ下の部分(なんていうんだろ)まで広がり、両足がほとんど動かせない状態に・・・
例えようも無い絶望感に襲われながら、反対のコートで行っているT君のシングル2の試合に目をやります。どうやら1セットオールの末、ファイナルセットの佳境に入っている様です。
下僕、全身全霊で念を送ります。
「Tよ、頼むから負けてくれ!!」
そう、彼が勝ってしまうと、2勝2敗で下僕の試合に勝敗がかかることになり、痙攣にも拘わらずリタイアが許されない地獄が待っているのです。そのつらさは、前回に堪能しました。もう二度と体験したくありません。しかも今回はまだセカンドセットの半ば・・・これからどれだけ走らなければならないことか見当もつきません。
痙攣を気にする振りをして、一心に念を送り続ける下僕。
あっ、両者が握手しました。見ていた若手が駆け寄ってきます。
「Tの奴、勝ちましたよ!後は下僕さんお願いします!」
地獄行き、確定なり・・・
「あぁぁ~」
思わず、絶望の声が漏れます。
予想以外の反応に驚くかと思いきや、
「おぉ、下僕さんが吼えてる・・・やる気だぜ!」
「今回はやってくれますよね!」
と、何故かポジティブに受け取る、能天気な若手集団でした・・・君らには、まだ人というものが分ってないと見える。
死刑台に向かう様な心境で、コートに入ります。
前回同様、極力足を動かさないテニスを心がけるも、前回の相手に比べ、今回の相手はフォアのスピードが5倍くらい速い・・・ものの5分で2ゲーム取られて4-3とされてチェンジコートです。
酸素を吸いながら、考えをまとめます。
・状況は不利を通り越して、まさに絶望的。
・今回の相手は攻めるのが得意。相手に攻めさせてミスを誘う手は使えない。
人の思考というのは、不思議な働きをするもの。このとき私の頭に浮かんだのは、かつて日本中を湧かせた「あしたのジョー」の主人公、矢吹丈の一言「こちとらやけっぱちのパンチドランカー・・・失うものはねぇ!」
ひらめきました。
もう、これしかありません。
ずばり、「カウンター作戦」。
ヤマを張って、相手が打つ前に移動を始める。もしコースが当たれば、フォアならフラット、バックなら回転量の多いスライスで、カウンターを返す。
当然、外れたらそれまでですが、両足攣ってこのレベルの相手に勝つには、普通のことをやってたらダメなのです。
かつて矢吹丈は、無敵のチャンピオン、ホセ・メンドーサにサンドバックにされながらも、立ち上がり続け、ホセに
「何故、彼はここまで立ち上がってくるのだ?彼は死ぬのが怖くないのか?」と思わせ、結果、ホセのボクシングを狂わせるに至るのです。
この偉大な先例に従い、私も相手に「なんでコースが読まれるの?なんで足が攣っている相手からポイント取れないの?打ち方変えないとダメかな。」と思わせることを狙います。「賢者は歴史から学ぶ」のです!あれはフィクションですが・・・
で、これが大当たりぃぃ!
伊達に何ゲームも打ち合っていたわけではありません、打点の入り方と打つ球の高さでコースはかなり読めてきてます。回り込んで、しっかり肩を入れられたフォアハンドはお手上げですが、それ以外はかなりの確率でコースを読み。カウンターを送り込みます。すべてがエースとなるわけではありませんが、ノータッチエースを取られる数は激減する一方、相手のミスが激増。セカンドセット、6-3で頂きでごわす!
だが・・・敵もさるもの、ファイナルセットに入り戦法を変えてきます。
そう、ラリーのスピードを遅く、下僕に長い距離を走らせる作戦に出てきました。これはイタい・・・つらい・・・一番やられたくない作戦です。痙攣が見る間に下半身全域に広がり、スコアも1-5ダウンです。
万事休す・・・
しかし、しかし、ここであっさり負けたのでは、真の漢が泣くというもの。考え抜いて、これだけは確実にカウンターを狙える相手のショットを発見します。それは・・・
サービスリターン!
当然、サービスボックス以外に打つわけにはいきませんし、上から打つ以上、ある程度ボールは跳ねるので、ライジングでもとりやすい。都合が良いことに、相手も相当疲労しているため、最初の様なコースの打ち分けが出来ておりません。
この作戦は効いた!相手もかなり動揺したらしく、しなくても良いダブルフォルトをプレゼントしてくれたりで・・・炎の3ゲーム連取です!
スコアは4-5ダウンで、下僕のサービスゲーム。相手も疲労しきっており、チェンジコートの時間が双方異常に長い(笑)
進行スタッフがいない実業団特有の、暗黙の合意によるインジュアリー・タイムって奴ですね。最後のチェンジコートは確実に3分超えてたな。
思えば下僕、ここ一番という試合に勝ったことはほとんどありません。
あるときは相手が強すぎ。
あるときはメンタルが崩壊。
そしてまたあるときは足の痙攣。
真剣に祈ります。
一回くらいは勝たしてくださいぃぃ!
この試合に勝てばヒーローです。
なにせ、単複あわせて6時間試合をやり抜き、シングルに至っては、ファーストを落として足が攣る、という絶望的な状況の中セカンドセットを奪取。ファイナルも1-5ダウンから奇跡の挽回で4-5までこぎつけている。我ながら、驚異的な粘りを発揮しております。
「うおりゃぁ!」
こんな気合とともに、むりやり両足を動かしコートに向かいます。もはや両チームの応援団も沈黙して見守るのみ。選手の息遣いと裂帛の気合だけがコートに響く。ここまで来たら、技術も体力も関係なし。
気持ちの勝負です。
魂と魂のぶつかりあいです。
どれだけ修羅場をくぐって来たか、これのみによって勝敗が決まるのです・・・
あっさりブレークされて負けました・・・
どうして負けたかって?
エース2本を含む、リターンの強打で粉砕されましたがな。
そう、自分の作戦を真似されて、負けました!
ネタをパクリやがって~
そりゃそうだ、サーブがダメダメな状況はどちらも同じ、というか私の方がはるかに威力がないサーブなんだから・・・
長い文章になりました。
さすがに、自分でもうんざりしますので、ここで締めくくりを。
・本日の教訓
-気をつけよう。自分が狙っていることは、相手も狙っている。
-パスタノーゲンは、可能な限り広範囲に塗りたくろう。
-パスタノーゲンが付いた手をぬぐったタオルで、顔を拭くのは避けた方が賢明だ。
もう燃え尽きました・・・真っ白な灰です・・・
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